×
日本史
世界史
連載
ニュース
エンタメ
誌面連動企画
歴史人Kids
動画

「日本武尊の子・武田王」と武田信玄の繋がりとは?

鬼滅の戦史111

源為朝が武田姓を名乗った?

 

 またもう一つ、この武田家と、その源流ともいうべき河内源氏との奇妙な繋がりについても触れておきたい。舞台となったのが、武田八幡宮奥に設けられた為朝神社である。創建したのは、前述の信義であるというのが面白い。

 

 祀られているのは、元暦元(1185)年に伊豆大島で自害したはずの源為朝である。ただし、ここでは為朝は伊豆大島では死なず、なぜか2匹の鬼を従えて、この地にやってきたと言い伝えられているのである。しかも、改姓して「武田為朝」を名のったというから、驚きが止まらない。とても信じ難いと言いたいところであるが、どうやらそう言い切れない事情が推察できる。

 

 意外にも、同県大月市真木にも、為朝がたどり着いたとの伝承が伝えられているからだ。そればかりか、近くにそびえる滝子山にも、為朝の妻・白縫がたどり着いたと伝えられている。

 

 為朝ゆかりの伝承地が同地周辺にいくつか点在するとなれば、あながち「あり得ない」と断言することが難しくなってくるのだ。

 

 ともあれ、日本武尊から武田王を経て、源為朝や武田信玄(たけだしんげん)、勝頼(かつより)に至るまで、当地を舞台として、意外な人物が一本の線で繋がっていることになる。これには何とも不思議な縁を感じてしまうのだ。

KEYWORDS:

過去記事

藤井勝彦ふじい かつひこ

1955年大阪生まれ。歴史紀行作家・写真家。『日本神話の迷宮』『日本神話の謎を歩く』(天夢人)、『邪馬台国』『三国志合戰事典』『図解三国志』『図解ダーティヒロイン』(新紀元社)、『神々が宿る絶景100』(宝島社)、『写真で見る三国志』『世界遺産 富士山を行く!』『世界の国ぐに ビジュアル事典』(メイツ出版)、『中国の世界遺産』(JTBパブリッシング)など、日本および中国の古代史関連等の書籍を多数出版している。

最新号案内

『歴史人』2025年11月号

名字と家紋の日本史

本日発売の11月号では、名字と家紋の日本史を特集。私たちの日常生活や冠婚葬祭に欠かせない名字と家紋には、どんな由来があるのか? 古墳時代にまで遡り、今日までの歴史をひもとく。戦国武将の家紋シール付録も楽しめる、必読の一冊だ。